ダイエットや生活習慣病と切っても切れない栄養素の「脂質」。脂質と一口にいっても、さまざまな形で食品中に含まれており、目に見えるアブラもあれば、見えないアブラもあります。食品ごとの脂質のランキングを正しく知って、ダイエットや生活習慣病予防にぜひお役立てください。
まずは「脂質」と「カロリー」の関係についてご紹介いたします。カロリーの元になるのは、たんぱく質と脂質と炭水化物の3つの栄養素です。それぞれ1gあたりのカロリーが違うので、これらの配分によって食品のカロリーも変わります。
たんぱく質と炭水化物は1gあたり約4kcal。脂質は1gあたり約9kcal。つまり、食品に含まれる脂質の割合が、その食品全体のカロリーを大きく左右するのです。
また、近年の日本人の食事では、炭水化物が減って脂質の割合が増え、理想的な摂取バランスが崩れてきています。この3大栄養素のバランスの乱れが、さまざまな生活習慣病を引き起こす要因となり、また、普段の体調にも影響していると考えられます。
まずは、おかずの代表選手、お肉の脂質ランキングです。「ロース、カルビ(バラ肉)、タン、ハラミ、もも」を、脂質の多い順に並べてみましょう。
正解は……、
「カルビ(バラ肉) ⇒ ロース ⇒ ハラミ ⇒ タン ⇒ もも」。
脂質が多いものほどカロリーは高くなります。ダイエットを考えるなら、タンやももを選びましょう。豚肉の選び方も同様です。
筋力アップ、スタミナアップをねらってお肉を食べるという場合も、脂質の少ない肉がおすすめです。肉のカロリーは、ほとんどがたんぱく質と脂質です。脂質の割合が少ないということは、高たんぱく質で、からだを作る栄養素の補給に最適だということです。
また、肉の脂質にはコレステロール値を上げる飽和脂肪酸がたっぷりと含まれています。コレステロール値が高めの人も、脂質の少ない種類のお肉を選びましょう。
お肉の脂質ランキングはいかがでしたか?焼肉のメニュー選び以外にも、スーパーで買い物する時などの参考にしてみてください。
Q.高脂肪の肉のアブラを一番落とす調理法はどれでしょう。
A.「2.網焼き」フライパンで焼く場合は、焼いて出てきた肉のアブラを捨てると、かなりアブラを減らすことができます。ゆでてからいったん冷まし、固まったアブラを除くのもおすすめです。
「あじ、うなぎ、カツオ、えび」。この4種類を脂質の多い順に並べてみましょう。
正解は……、
「うなぎ ⇒ あじ ⇒ カツオ ⇒ えび」。
「青背魚」と呼ばれる、うなぎやサバ、さんまなどは、脂質の多い魚の代表。そして、鮭やタラ、えびやいか、ホタテなどは、低脂質・低カロリーな魚介です。ダイエット中なら、後者を選ぶと、量を減らさなくてもカロリーをそれほど上げずにしっかり食べることができます。
肉と大きく違うのは、同じ魚介でも季節によってアブラのノリが違うこと。カツオなどはその代表で、春の初ガツオと秋の戻りガツオでは脂質の量は10倍も違います。「旬」と言われる時期は、一般的にアブラが乗っている時期=カロリーが高いことを覚えておきましょう。
しかし、魚のアブラには血液中のコレステロールや中性脂肪を減らし、血液をサラサラにする脂肪酸(DHAやEPA)がたっぷりと含まれています。コレステロールや中性脂肪の数値が高い人は、あえてアブラの乗った魚を選ぶとよいでしょう。
「牛乳、生クリーム、クリームチーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト」この5種類を脂質の多い順に並べてみましょう。
正解は……、
「生クリーム ⇒ クリームチーズ ⇒ プロセスチーズ ⇒ 牛乳 ⇒ ヨーグルト」。
これらの乳製品は、口当たりや見た目ではアブラっぽさがわかりにくく、脂質をイメージしにくいですが、実はとても多くアブラを含みます。
生クリームたっぷりのケーキや、クリームソースのパスタなどは、とても脂質が多く、チーズは一度にたくさん食べるものではないですが、脂質比率の高い食品です。洋風の料理やお菓子によく使われるクリームチーズも脂質が多いので、ダイエット中には注意が必要です。ベーグルサンドやチーズケーキなど、思い当たるものはありませんか?ダイエット中のヨーグルトや牛乳は、低脂肪のものを選びましょう。
乳製品に含まれる脂質、乳脂肪は血液中のコレステロール値を上げやすいため、コレステロールの数値が高めの方も脂質の少ないものを選びましょう。
クリームチーズを使うレアチーズケーキは美味しいけど高カロリー。
そこで今回は、ヨーグルトを使うレシピをご紹介します。ダイエット中の人にもおすすめです。
● 材料
● 作り方
フルーツソースやはちみつなどを少量かけるのもお勧めです。
コーヒードリッパーがあれば、ペーパーフィルターをセットして水切りしても簡単に作れます。
脂質を気にする時に、落とし穴になりやすいのが調味料です。
カレールー、シーザードレッシング、マヨネーズ、中濃ソース、ケチャップ、
この5種類を脂質の多い順に並べてみましょう。
正解は……、
「マヨネーズ ⇒ シーザードレッシング ⇒ カレールー ⇒ 中濃ソース ⇒ ケチャップ」。
マヨネーズは材料の7割以上がアブラなので、脂質はかなり高く高カロリーです。シーザードレッシングも4割以上がアブラです。ダイエットのための野菜サラダも、ドレッシングやマヨネーズで、あっという間に高カロリーな一皿になってしまうのです。ダイエット中の人は、マヨネーズは極力控え、ドレッシングはアブラ比率の低い、低カロリーのものを選びましょう。
カレールーやハヤシルーなども、脂質の多い調味料です。
手軽ですが、ダイエット中の方は控えめにしましょう。
一方、ソースやケチャップには脂質が殆ど含まれていないので、味付けに上手に活用しましょう。
カップ焼きそばなどを食べた時に、ボリュームが足りず、パンやおにぎりをプラスしてしまったことがあるという方もいるのではないでしょうか?
では、カップ焼きそば1個と、おにぎり2個(具材は梅・鮭)では、どっちが高カロリーだと思いますか?
A:「1.カップ焼きそば1個」
カップ焼きそば1個は500~800kcal、おにぎりはこの具材だと2個でも400kcal程度です。加工食品は、油脂の使用量が多く脂質の量が増えるので、全体的に高カロリーになります。
カロリーと腹持ちを考えるなら、おにぎりを選ぶのがおすすめです。ただし、おにぎりでもツナマヨなど、マヨネーズを使った具材は脂質が多く、カロリーが高めになるので注意をしましょう。
さまざまな脂質のランキングをご紹介しましたが、脂質を見抜く力はつきましたか?ランキングを思い浮かべながら、毎日のメニュー選び、食品選びの際に是非お役立てください。
監修者:管理栄養士/健康運動指導士/
食コンディショニングプロデューサー
小島美和子